⑧捻挫・成長痛の鍼治療

急性期の捻挫や関節痛には鍼治療が有効です。鍼治療は神経痛や慢性腰痛・五十肩など慢性疾患が対象と思われがちですが急性期のスポーツ障害や成長痛にも効果を発揮します。特に急性期の腫脹縮減や関節痛の疼痛除去・腰椎頸椎ヘルニアの神経症状の縮減など効果を発揮します。当院ではスポーツでの捻挫など急性期の症状に対しても鍼治療を行っています。微細鍼(極く細い鍼)などにて幹部周囲を刺鍼し太陽灯などの光線療法を併用します。中学生や小学生のスポーツ傷害の子達もこの治療を受けています。

⑦バレリーナのケア

茨城時代には縁あってチャイコフスキー記念東京バレエ団所属のバレリーナや地元バレエ教室の子供たちをケアさせて頂きました。バレエは、芸術ですが一方で過酷なスポーツ的な身体活動を強いられます。爪先立った状態で背骨を中心に一本芯が通った状態で回旋・移動・跳躍を行いながら芸術的表現が求められるのですから!感性も重要な要素となります。フィギュアスケートも似たような身体運動を行うのでクラシックバレエを基礎に訓練していく子が多いのが事実です。足関節が特に過底屈するのでこれを支えるために下肢の筋群に負荷が掛かるとともに内臓の奥を通過する腸腰筋と呼ばれる腸骨筋や大腰筋なども重要な働きが求められます。頸もまっすぐな状態を維持するので直立頸椎傾向のバレリーナも多いようです。。特に腰は過伸展の頻度も多いため成長期の子供たちには時として腰椎分離が発症する場合もあります。分離した腰椎は、前方へ滑り出すことがあります。これを腰椎辷り症といいます。このようにバレリーナに対しては、多くの部分に着目してケアする必要があります。ワガノワ留学生や東欧諸国へのバレエ留学生もケアさせて頂きました。ロシアでは、バレリーナ専門の治療家も居てさすがに充実しています。お蔭でNHKで毎年放映される「ローザンヌ国際バレエコンクール」など勉強の意味で毎年見ていましたし、バレエコンサートなども見るようにしていました。ちなみにお気に入りの筆頭バレリーナは、アナニアシヴィリですね。 シルヴィ・ギエムやジョルジュ・ドンのボレロは大好きです。くるみ割り人形も定番ですが楽しい舞台です。

⑥高校生のスポーツ障害

最近、高校生のスポーツ障害での来院が目立ってきました。九州学院駅伝部や熊工男子ソフトボール部それに国府の女子ハンドボール部などの選手です。それぞれに関節周囲やその筋群の損傷が目立ちます。筋肉の働きで一般の方には、意外と知られていない単純なことがあります。それは筋肉は『収縮』が仕事だという事です。筋肉は伸びたり収縮したりするもの・・・と思われがちですが、実は『収縮』のみが働きです。屈筋群と伸筋群といわれますが、これは関節を屈曲する筋か?関節を伸展する筋か?を指しているだけです。筋肉が収縮した際に反対側の筋は自然と伸展していますが、これは屈筋が収縮したので反対側が伸ばされただけのことです。筋繊維が神経刺激によって収縮した結果です。筋肉は、筋膜という膜に覆われておりその筋膜に多くの血管や神経が分布しています。こうした筋膜の損傷や筋繊維そのものの損傷が『肉離れ』などの筋挫傷と言われます。骨も骨膜という丈夫な膜に覆われており、この骨膜に筋肉や腱などが付着しています。野球肘などの上腕骨外顆炎は、この上腕骨外顆に付着する筋群が過剰な投球での疲労にて筋繊維の硬化や阻血が起こり外顆に負担が掛かった結果です。筋肉の疲労や硬化によって、その筋群の付着部(起始部・停止部)で様々な障害を引き起こします。膝のスポーツ障害も多く、膝には半月板・前後十字靭帯・内外側靭帯・膝蓋靭帯などの複雑な関節支持組織が存在し故障を引き起こします。これらは、すべて各種テストを実施することで鑑別診断が可能です。当院では、スポーツ障害に関しては、筋緩和操作や関節モビリゼーションやAKなど理学療法手技等も行って治療しています。同時に鍼治療も大きな効果を発揮しています。

⑤小児の骨・関節損傷(成長線を主体に)

小児の骨・関節損傷で重要なキーワードは

骨端線(成長線)」です。

骨は、各成長段階で特有の形成状態を示してきます。

『成長痛』という言葉をよく聞くと思いますが、こういった成長段階での骨の脆弱な部分に負荷がかかった時に見受けられる症状です。特に小学生の段階でスポーツを盛んに行うお子さんのヒザ下や踵が痛む成長痛は有名ですね。膝の症状を呈するオスグット病は特に有名です。

成長線と言われるものは、正式には「骨端線」といい骨の先端部分にまだ本体と合流していない境界線がレントゲン像で見受けられます。あたかも骨の端っこが分離しているかの如くに見えます。こうした部分は、実際には骨膜に覆われ本体と一体化していますが軟骨が骨化する途中のため外力に非常に脆弱な部分といえます。この骨端線部分で損傷を受け離解した場合「骨端線離開」と診断され主として保存療法的に治療されます。成長が著しい部分ですので安静にてほぼ落ち着きます。もちろんギプスや包帯固定など必要です。

野球肘といわれる肘関節の損傷やサッカーでの踵骨骨端炎などのこれに分類されます。

骨端線は、男性で17~18歳・女性で15~16歳で消失します。

下記:成長段階のレントゲン画像でお子様の状態を知っておいて下さい。

資料)肘関節の年齢別骨成長画像

④腰痛

今回は、急性腰痛の患者さんがいましたので腰痛を取り上げました。

腰痛も日常生活の中で訴えが多い症例です。椎間板ヘルニア・脊椎分離症・脊椎すべり症・脊椎管狭窄症・脊椎カリエス・化膿性脊椎炎・癌転移性のものなど幅広い原因があります。軽度のものは、筋膜性腰痛や脊椎関節・椎間板の退行性変性によるものです。今回の患者さんは、産後1.5ケ月の方でちょっとした荷物の移動・子供の抱きかかえで発症しました。骨盤の仙腸関節とL5付近での強い痛みと可動制限/放散痛などの主訴です。産前は、出産のために骨盤が緩み始めます。恥骨関節と仙腸関節が緩み産道を広げ始めるため不安定な関節状態となります。産後は、このゆるみが徐々に戻り始めますが落ち着くまではだるさ・痛みなど継続します。「産後は寝ていなさい」と昔からいうのは、こうした出産のために変化した身体や内臓が元に戻るためには、安静を必要としたからです。中には、早くから仕事する方なども多い世の中ですが、後々に腰痛など変調をきたす方も多いのも事実です。さてこの患者さんは、通院時には介助されながらの歩行や起立動作で来られました。仙腸関節は、非常にデリケートな関節です。これは普通の関節と違い縦に関節面同士が結合しているからです。この部分が、通常でない位置関係へズレ込んでいたため(後前腸骨棘の非対称など)鎮痛通電と湿性温湿布そして最後に骨盤調整を行った結果、来院時の疼痛性側彎は改善し自力歩行で帰路に着くことが可能となりました。明日で1週間になりますが、日常動作はかなり可能となっています。あとは本来の仙腸関節の落ち着きを促進するために今後は周囲筋群の温熱治療やマッサージもさらに行っていきます。

画像は、男性の骨盤(上)と女性の骨盤(下)ですが、ご覧の通り女性は出産を行うので広い開口部となっています。俗に女性はブランデーグラス型で男性はカクテルグラス型とも言われます。

③shin- splints シンスプリント

  昨日シンスプリントの中学生が来ましたので取り上げます。

シンスプリントは、ランニング障害の代表例として有名です。

脛骨(すねの骨)内側下1/3で頻発し炎症を起こします。筋・腱・骨膜の炎症により踵を着いた際に痛みを感じたり、練習の初期・終了後に訴えたりします。ヒラメ筋というつま先立ちする筋肉がこの部位に位置しておりスタート時の負荷を非常に受ける場所でもあります。

原因としては、ヒラメ筋の張力耐性の減少(筋肉の機能低下や柔軟性の欠如)が主ですが、周囲筋群のオーバーワークや偏平足傾向も挙げられます。運動環境(土・アスファルト)も影響します。研究では、靴や練習方法などへの考察も行われています。

症状初期は、安静とアイシングです。軽度の場合、練習を休みアイシングとストレッチなどでも改善に有効です。当院の場合、初期の炎症が軽減した段階で組織の新陳代謝を促進させ筋・腱・骨膜を修復させる目的で①筋緩和電気治療②温熱治療(超音波浴・光線)③マッサージ④SNRテーピングの組み合わせでセットアップしていきます。

マッサージは、大腿四頭・二頭筋群や患部の下腿筋群そしてアキレス腱の周囲も行っていきます。

簡単に言うと筋肉が固くなり伸びが低下したためにその筋肉の骨付着部周辺でハガレが生じやすくなり炎症を起こすのです。知っておいてほしいことは、筋肉や腱は、骨に直接付着しておらず骨膜という膜に付着しているということです。よく伸びる柔らかい筋肉が理想ということですね。普段からの練習後のメンテナンスが重要です。

★温香堂のスポーツマッサージ  小学生1500円 中高生2000円 大学一般2500円

   注)シンスプリントなどスポーツ障害群は、保険適用で治療できます。

 

 

②肩こり

「肩こり」を訴える方は、非常に多いですね。これは病名ではなく症状ですね。「肩こり」の原因がどこに由来しているのか?これを探るのが我々の仕事です。単に作業などで筋肉が固くなったものから頸椎由来のもの・内臓・心臓からのものなど「肩こり」を起こす原因は多くあります。特に頸椎に起因するものでは、単なる頸椎症から椎間板ヘルニア・変形性頸椎症そして珍しいものではOPLLでしょうか?OPLLは、中年期の男性や指揮者などに見られますが頸椎の後縦靭帯が骨化して脊髄を圧迫するものす。そのため神経麻痺が発生し歩行障害など出現します。外科的手術を行った場合、ハローキャストという頭蓋骨を固定する装具を着けることとなります。大変なリハビリが必要です。単なる「肩こり」は、姿勢が原因のものも多いですね。悪い姿勢が長年続くと直立頸椎や逆に前弯強度のタイプなど発生します。油断せず一度きちんと診察を受けることが大切です。

①Nomans-Land 

品川の病院時代に経験した「手の外科」領域の専門用語です。字のごとく「何人も立ち入れない場所」という意味ですね。手の指の第二関節付近の領域ですが、ここは腱が複雑に交差している場所で腱がパイパス(交差)を形成しています。

浅指屈筋腱と深指屈筋腱が交差しているので、この部位で腱断裂を起こすと2つの腱が癒着しやすいことで有名です。DIP/PIP双方の屈曲を行う深指屈筋腱が優先されますね。この部位を単なる打撲として放置し腱の癒着で屈曲不全を起こすこともありますので要注意の部位でもあります。